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ROAD TO ZIP featuring ラオウ
あぁ゛ー、あっつ…。ったく、か弱い美少女をこんなクーラーもないような狭んまい回線に押し込んどいて、「電話が来たら繋いでねーん」ってどーゆー神経してんのかしら…。
あら、お電話アリガトウ。いま呼び出してるけど…まだ出ないのかしら…。んー、着信はしてるのよネェ…。ま、どうせアイツのことだから、マナーモードにしてて気が付かないんでしょ。それにしたってそろそろ出て
そこにいるのは誰?この感じ…知ってる気がする。ねぇ、君は私を知ってるの?…私ね、自分が誰か知らないの。
ふぅん、君って優しい声してるのね。私、あなたをもっと知りたいな。もうちょっと時間があればいいのに。なかなか電話が繋がらないのは、私がそう思うからかな…。
ふふ、やっぱりあなただった。わかっちゃうのよ、私。あなたがここにかけようとすると、その姿が見えちゃう。
まだ出ない…まだ出ない…まだ出ない…まだ出ないっ!繋がらない携帯が何になると言うのだっ!繋がらないなら…繋がらないなら…こんな携帯、捨ててしまえばいいんだ!
着信はしているのだ、通話許可は出てるってことだろう。なら…どうしてアイツは出ない!?
あの…いま、持ち主さんが来ると思います。本当は呼びに行きたいんですけど、私、お屋敷に入るお許しをいただいてなくて…この取次ぎ小屋から、出られないんです…。
お待たせしてごめんなさい。でもね、人を待たせるって本当はしているその人も決していい気持ちじゃないのよ。持ち主さんもきっといつかその事に気がつくはず…。だから、それまでは大きな広い心で見守ってあげましょ
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